昔ながらの菜種油づくりに笑顔~遊休農地解消対策で小学生と農業体験~ (王寺町農業委員会)

乾燥した菜の花を踏む

 王寺町農業委員会(吉田進亮会長)は、遊休農地解消活動の一環として、モデル圃場で栽培している菜の花を使って毎年7月に地元の小学生とともに、菜種油づくりを行っている。子どもたちに食育や農業に関心を持ってもらうことが目的だ。
 同町農業委員が昨年11月に菜種を植え付け、5月に収穫した。2千本もの菜の花を7月の油づくり体験まで乾燥させる。
 当日、学校の広場や体育館で農業委員らの指導のもと、小学生には乾燥した菜の花を踏んでもらい、種分けを手作業で行った。その後、細かい選別は昔ながらの機具である唐みを用いて種を分けた。
 選別した種を搾油機に入れて、農業委員とともに油づくりを体験し、3千㌘の油が出来上がった。小学生たちは、初めての作業にワクワクし、笑顔があふれていた。
 体験で作られた油は、小学生が学校行事で東大寺に訪れたときに奉納している。奉納時には、農業委員も同行し、その様子を見届けている。大仏をともす明かりに利用されているという。
 吉田会長は「今回の体験を通じて、子どもたちには、油一つ作る作業の大変さや食べ物の大切さを伝えている。また、少しでも農業に興味を持ってもらい、将来、地域の農業に携わってもらえたら」と語る。

唐みを体験

(全国農業新聞 令和5年8月4日号掲載)